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イチゴアイスの中に入っている小さな苺のつぶ、海辺で手のひらに残った砂つぶ、乾いた地面に落ちた最初の雨つぶ…小さいことだけど、ちょっと人生が楽しくなったり豊かになる。そんなつぶつぶを探しに行こう。

2014年6月29日日曜日

【報告】ひさぎてくのろじー

【報告】ひさぎてくのろじー
2014年6月28日(土)開催

1)『なんかおもしろそう』
地元の子供会で知り合った「普通のお父さんたち」がどうやら理工系のコンテンツを持っているらしい、ということが分かったのは2年前。へえ、そうなんだ。もし地元のお父さんたちが、地元で、地元の人を対象にサイエンスワークショップをしたら、なんかおもしろそうじゃない?やりませんか?
「いいね、おもしろそう」
それがきっかけで準備が始まりました。お父さんたちそれぞれが楽しんでできるもの、というお題に対して、ラビリンスボックスの工作、工業デザイナーの仕事を紹介する、パソコン分解という3つのプログラムが出てきました。
(おお!すごい!なんかおもしろそう!)
とはいえ超多忙な方々。打ち合わせもそこそこで当日を迎えました。直前になり全プログラムとも満席という嬉しい悲鳴。そして会場となる久木会館は三か月前にオープンしたばかり。スタッフ一同だれも使ったことのない場所で大丈夫か?どうにかこうにか準備が整い、あとは参加者の皆様を待つのみ。さあ、どうなった?
(長いですが最後まで読んでくださると嬉しいです)
ネームプレートも用意して
フラッグガーランドも飾って

どうぞお入りください!

2)ちょっとむずかしいけど、すごく不思議
Section 1『光のふしぎ』には、小学1年生親子、小学3年生親子、小学4年生1名、小学5年生7名、小学6年生1名、が集まりました。会場付近に住んでいる子供たちは一人で参加費を握りしめてやってきます。机の上のカッター台になんとなくわくわくしている様子です。
受付で自分で名前を言ってお支払。マイド!
まず初めに、光の不思議な様子について講師の宝川さんから説明がありました。光が波であることや、夕陽が赤く見えるしくみなどを聞きました。この辺りのお話は中学理科の内容です。
光の話はいつ聞いても不思議だな
15分ほどの説明が終わるといよいよ工作です。作業用の手袋、これも子供にはわくわく倍増のアイテムとなったようです。
最初は四角い平面のパーツ。よーし作るぞー!
幅の狭い線をひいたり、模様を描いたり。自由に下書き。
黙々と作業中~。
プラカッターでつける模様は自由です。みんな思い思いに描いて夢中です。「あの~。そろそろまとめてくださーい。箱の形にしましょー」という声をかけなければいつまで模様を描いていたのかしら、と思うほど。

ようやく、箱の形に。この合わせ方も結構難しい。
出来上がったらシールなどでデコってみます。
かわい~!
できあがって中をのぞいた子からは歓声が。「みせて、みせて!」お隣の箱ものぞいたり、完成です!え?中ですか?こんな感じですよ。
わー!

おー!

しょえー!
今回の工作はパーツの接続が少々小学生には難しかったようです。でも、早くできあがった子供がまだできていない子供のお手伝いをしたりしてくれて、無事に全員自分だけの世界に一つのラビリンスボックスが完成しました。ラビリンスボックスは市販の工作キットもあるようです。今回参加できなかった皆さんもおうちで楽しんでみてください。

<みんなの感想>・・・自分だけの箱を作れて楽しかった★むずかしい部分もあったけどちょー楽しかったでーす♪★(傷をつけるとき)線に合わなくて『あー。』と思った★自由に傷をつけただけだったけど自分でもすごいと思った物ができてうれしかった★きれいなものができたけど作り方がむずかしかった★少しわからなかった所もやさしく教えてくれてうれしい★子供だけでなく大人も楽しいイベントでした★7色の光にびっくりしました★また来年もやりたい


3)みえないものを形にする
Section2 デザインしてみよう の参加者は、中学生7名、成人4名。ぐぐっと大人の雰囲気になりました。
世の中にはたくさんのものにあふれています。それらには皆工業デザインが絡んでいます。とは言っても、いざ、工業デザイナーってどんなお仕事だろう?デザイン(意匠)ってなんだろう?と聞かれると・・・よくわからない(汗)。それをホンモノの工業デザイナーの清水さんに説明してもらおうという企画。お話はお茶とお菓子を片手に気楽に聞きましょう。
簡単ですがお茶をご用意いたしました。

おお!コップにカガクの粒のロゴマークが!(スタッフKさん作)

デザインについてのお話。
商品の中でデザイナーがどんな役割を果たしているのか、日本の今の3大デザイナー、そのデザイン。どういう工夫があって、どんな考えがあるかなどのお話がありました。うーん。面白い。聞いたことのない話ばかり。一通りお話が終わると、実際にラフデザインを描いてみることに。
「デザインを描いて、発表してもらいます」
「えー!!!」
そうです、やってみるのです。逃がしません(笑)。恥ずかしがっている場合ではありませんよ!
中学生も奥様達も、なんだかんだ言いながら、紙に絵を描き始めました。清水さんからのアドバイスは、「どんなアイデアも出してみる、出されたアイデアはけなさない、あったらいいなを形に」でした。お題は「懐中電灯」。一体どんなデザインがでてくるでしょうか?
会議みたい。うーん。どんな懐中電灯があったらいいかなあ。
頭を抱えていた参加者のみなさんでしたが、でてきたアイデアは千差万別。ひとりひとりプレゼンをしていきます。電池をいれないもの、壁全体を照らすもの、振ると発電するもの、光源がまっすぐ進むもの、空を飛ぶもの、伸びるもの、てぶくろ型、スリッパ型、おしゃれなもの、さわるだけでつくもの、影絵をたのしめるものなど等。ひとつひとつのプレゼンに対し、清水さんがコメントを。そこからさらに知見が広がります。出てきたアイデアの中では、すでに実用化されているものもあるし、未来に実現を期待するもの、清水さんが参考にしたくなるアイデアも。わー。
アイデアいろいろ
アイデア満載
どんな小さなもののデザインも、デザイナーの生活、人生、価値観が表れているのかもしれないな。皆さんのプレゼンを聞いていてそう思いました。普段の生活の中と自分の頭の中にあるみえないものを絵に描いて説明するって、おもしろいな。終わってみると、実はこのプレゼンが最高に楽しかった模様。もっとアイデアを出して説明したかった、という声が聞こえてきました。普段子育てに専念する奥様達の豊かな発想とプレゼンの際の生き生きとした様子も素晴らしかったです。

<みんなの感想より>・・・大工など家をたてたりものを作ったりしたいと思っているので、今日のデザインをつくろうに参加して、やっぱりそういう仕事につきたいと思いました。★デザインの世界や3Dプリンターなど初めてのことを聞くことができて楽しかったです。★この商品を誰がいつどんな場面で使うのか、こうだったらいいなこれが不便だな、と色々な角度から考えるのが楽しかったです。★中学生のアイデアは斬新で楽しいです。★デザイナーという仕事にも色々な種類があることが分かりました。将来のことはまだ分からないけど、身近な所で生かせるといいです。★結構小さいもののデザインに興味があって将来こういう仕事もありかなと思っていたので今回の体験はとても楽しかったです★考えてみるとあまりアイデアが出なかったけどいろいろ話しているとみんな違うことを考えていて楽しかったです★もっとデザインをしていたかったです!★自分でデザインするのはおもしろいと思いました。


3)時間を忘れて
最後のSection3は、パソコン分解。文字通りパソコンを分解します。
小学4年生4名、小学5年生2名、小学6年生2名、中学生6名、一人一台分解するというぜいたくな仕様です。
パソコンの内部には科学技術がぎっしりつまっています。光のはなしや回路のはなし。こちらとしてはその素晴らしさや面白さを伝えたい所ですが、今回はぐっとこらえて分解に専念してもらうことに。常盤さんによる15分ほどの簡単な説明を終えて、すぐに作業に取り掛かります。2時間で一台分解してみよう!
道具をどう使うかなど説明中
道具は大事
難しいところはスタッフのアドバイスをうけながら

だいぶばらばらになってきたぞー

これなんだろう?
外枠はご覧のとおり。

「分解だぞ、破壊じゃねえぞ」などと話しながら作業する中学生。
猛烈な勢いで分解をし始めたみんな。どこかで飽きてしまうのではないかというこちらの予想とはうらはらに、2時間分解しっぱなしです。手がとまりません。座って作業していた子もいつのまにか立ったまま作業しています。見たことのないパーツが出てくると、パーツの説明もしてもらえます。中からでてきた小さな細い蛍光灯のような管。これが一体どのようにディスプレイ全体を照らしているのか、いまはLEDになってしまったことなど。
終わったら分別します。
 2時間もたつと、机の上には乗り切らないくらいのたくさんの部品が積もっています。ほぼ解体し終わった子もいれば、できなかった子もいますが、よく分解したなあ!お土産は、パーツをつかったストラップ。持ち帰ってよいパーツの中からキーホルダーを作るのですが、皆疲れているはずなのに、これまた夢中になって作っています。
ホットボンド(グルーガン)は、中学の授業で使ったことある、という中学生に、お手伝いしてもらいました。
CPUを「学問のお守り」として持ち帰る輩も・・・
う、売れそうなデザイン。す、すごい。(中学生作)
今回はほぼ自由に分解をしてもらったのですが、分解の仕方も実は人それぞれ。外れそうで外れなかったり、こんなところにねじがあったり、ばらばらにしてみて初めて気づくことがある。ばらばらにして、ものすごい技術がつまっていることもわかる。それにしても、人ってこんなに集中できるんだなあ。
<みんなの感想>・・・楽しかったです!時間を忘れるくらい!★パソコンぶんかい、はじめてやったけどおもしろかった。またこんどやりたいです★次またあるのなら、またやってみたい★ハードディスクがもらえなかったのが残念だったけどパーソナルコンピューターの仕組みが少しでも分かったので良い体験になりました★ねじがたくさんあったからたいへんだった★最後にキーホルダーを作れたのでよかったです★めっちゃ疲れたけど楽しかった★パソコンのえきしょうの仕組みもしれたのでよかった★

というわけで、すべてのプログラムが、事故やけがもなく無事に終了いたしました。やはり、カッターや金属部品でけがの恐れもありましたから。ほっとしました。よかった~。ご参加の皆様、ご来場誠にありがとうございました!!楽しかったですね!


4)反省会で
終了後スタッフの反省会で、「楽しかったで終わっていいのかな」という話がちらっと出ました。これは、企画を考える上で、私もいつも考えていることです。一回きりで終わらせず、例えば、継続的に訓練をする科学クラブというやりかたもあるのかもしれません。同じ趣味を持つ人たちが集まるのは楽しいし、より複雑な内容にチャレンジできるのかもしれません。その思いを実現したのが学校なのでしょう。育てることを重視するならば、継続性は必須でしょう。
その一方で、一回一回違うメンバーが集まることにも魅力を感じています。集まったメンバーによって会場の雰囲気ががらっと変わるのです。いつも同じメンバーが集まるクラブにしてしまうと、その面白さはなかなか味わえないのではないかなあ、と思ってもいます。どんなやりかたがよいのかまたゆっくり考えていきたいと思います。

最後になりますが、見ず知らずのカガクの粒の企画に、お子さんを参加させて下さった保護者の皆様に感謝申し上げます。
また、忙しい中、投影用の資料を作ってくれたり、材料を調達してくれたり、会場設営からお昼の準備まで「普通の保護者」を超えた協力をしてくれたスタッフにも心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
(おわり)